「メタボ」という言葉が流行語大賞をとるほど、成人のメタボリックシンドロームが広く注目を集めるようになりました。しかし、メタボリックシンドロームという病態を正しく理解し、「メタボ」にならないためには、いつから、どのような点に注意して生活をしたら良いか分からない方が大半だと思います。
メタボリックシンドロームとは、肥満(内臓脂肪型)とインスリン抵抗性(すい臓から作られるインスリンというホルモンが、からだに対し作用しにくくなり血糖値のコントロールができなくなってしまう)という共通の病態が基盤にあります。その結果、高血圧、脂質異常、高血糖などの病気がいくつも合併し、動脈硬化が進行し、心筋梗塞、脳梗塞などの命に関わる病気のリスクが高まる状態をいいます。動脈硬化は成人になってから生じるものと思われているかもしれませんが、実際は幼児期からこの変化は現れます。
日本人の主要死因の約30%は、心筋梗塞、脳梗塞などの動脈硬化が原因なのです。
この恐ろしいメタボリックシンドロームの最大の危険因子は「肥満」です。成人の肥満が増加し、それに伴いメタボリックシンドロームも増えていますが、成人肥満増加の背景には、「小児肥満」の増加が大きく関与しています。
小児肥満はこの30年ほどの間に2〜3倍に増加傾向にあります。現在、学童期の10人に1人が肥満児です。
幼児肥満は学童肥満に、学童肥満は思春期肥満に、思春期肥満は成人肥満につながります。なんと成人のメタボリックシンドロームの診断基準に当てはまる小児も少なからず見られます。
小児肥満の延長に成人肥満、メタボリックシンドロームがあることを考え合わせれば、成人肥満、メタボリックシンドロームになってから治療を開始するのではすでに遅すぎるのです。
子どもの頃からの食事、運動、生活リズムなど規則正しい生活習慣を守り、小児肥満にならないこと、これが成人肥満、メタボリックシンドロームの予防に最も重要です。
「メタボ」の対策は小児期から!
小児の肥満、メタボリックシンドロームの予防の重要性、肥満の判定方法、そしてすでに肥満である小児では、基礎疾患の有無、合併症、治療法について分かりやすくお話したいと思います。